明日も耕す 農業問題の今 高市式「自給率100%」の正体 農民不在の食料増産投資
明日も耕す 農業問題の今
高市式「自給率100%」の正体
農民不在の食料増産投資

10月4日に行われた自民党総裁選で、極右として知られる高市早苗が選出された。激化する中国侵略戦争情勢下で、高市新政権はどのような農政を行おうとするのか。総裁選での公約から検証したい。
高市は総裁選の過程で農業予算の増額を唱え、食料自給率100%を掲げた。では、高市は農業に力を入れるのか。高市が力を入れるのは「食料安全保障」であって「農業」ではない。
高市は総裁選の公約で次のように述べている。
「従来型の農業も大事だから全ての田畑をフル活用できるための環境を整える。それとともに、世界最先端の植物工場・陸上養殖、このとがった技術に大きな可能性がある。そのために高額だけど初期投資が大事なので、国の支援を強化したい」
閉鎖型植物工場
高市は自身のユーチューブチャンネルで「日本企業によって世界で初めてモジュール型の完全閉鎖型植物工場が開発された」「従来型の植物工場の約5倍の生産性を誇る」と宣伝。また、陸上養殖についても「過去60年間出来なかったイカの養殖に成功」したと取り上げている。
こうした国産技術のイノベーションで自前で食料生産できるようにするというのが高市の言う「自給率100%」だ。
そしてそのために膨大な初期投資が必要だから国の支援を強化するというのが「農業予算の増額」だ。
安倍政治を継承
植物工場について少し詳しく見ていこう。
高市が持ち上げているのはプランテックス社という企業だ。3年前からスタートした農水省の「食料安全保障に資する完全閉鎖型植物工場の実現に向けた調査研究」というプロジェクトで取り上げられている。
モジュール型、すなわち栽培ユニット単体で稼働できるので、被災地でも砂漠でも、宇宙でも食料生産が可能だという。農地でなくてもどこでもOKというわけだ。また、無農薬をうたい、気候変動にも左右されないとうそぶく。
バラ色の話をするが、そのためには膨大な設備投資、膨大な電力を必要とする。まだ作れる野菜品目も少ない。こんなものに未来が託せるか。
イノベーションにおいて世界との競争に打ち勝ち、国産化と世界の食料支配参入で戦争体制を構築しようというのは安倍政権からの継承だ。農民不在の食料生産、農民切り捨て以外の何ものでもない。
少数与党で、当面は農業に関して弥縫策(びほうさく)も口にするだろうが、安倍がやってきたことを継承し、よりいっそう中国侵略戦争に突き進むのが高市だ。高市を打倒しよう。