明日も耕す 農業問題の今 「冷凍液卵」を推す農水省 大量生産に未来はあるか
週刊『三里塚』02頁(1175号02面05)(2026/01/12)
明日も耕す 農業問題の今
「冷凍液卵」を推す農水省
大量生産に未来はあるか

(写真 市場で存在感を増す冷凍液卵)
江藤拓、小泉進次郎、鈴木憲和と農林水産大臣が替わるたびに米をめぐる政策がコロコロと変わり、米騒動が続いた2025年。米問題の陰にかくれていたが、鳥インフルエンザによる卵不足もずっと続いている。
農林水産省が昨年12月に発表した卵の全国小売平均価格は、1パック10個入りが308円で、03年の調査開始以降、過去最高値となった。
値上がりはさらに続いている。
高騰の要因について農水省は、24年の秋から流行した鳥インフルエンザの影響で、供給が減っている中、卵の需要が高まる年末を迎えたためだとしている。
さらにこの年末年始、連日のように鳥インフルエンザの発生が報道されている。1月2日に発生した宮崎県延岡市の事例で全国13例目。すでに350万羽以上が殺処分の対象になっている。
1年半保存可能
そんな中、農水省は「冷凍液卵」の保管場所などの整備費用を支援する方針を打ち出した。液卵とは卵の殻を取り除いた液体状のもので、菓子メーカーといった卵を大量に使う加工業者などで多く用いられる。殺菌して冷凍すると1年半保存が可能だという。
農水省によると、卵の需要や価格が安定している夏場に液卵を作って冷凍しておくことで、冬の緊急時、鳥インフルエンザや卵不足などで卵の価格が高騰したときに、業者には「冷凍液卵」を使ってもらえば、消費者がスーパーで購入する卵は供給・価格が安定するのではないかというのだ。
卵の工業製品化
農水省は、冷凍液卵の保管施設の新設費用を半額程度補助するなどして活用を後押しする方針で、25年度の補正予算案に4億5000万円を盛り込み、26年度の実施をめざす。価格高騰対策とは言うが、冷凍液卵支援は鳥インフルエンザ対策の破綻を示すものだ。
発生するたびに大量の殺処分を繰り返しても鳥インフルエンザを抑えることはできない。
かつては「物価の優等生」と宣伝され、労働者の賃金抑制に一役買った大量飼育・大量生産の養鶏は、もうどうにもならなくなったのだ。利潤追求を第一とする資本主義的畜産システムでは解決などできない。それなら液卵でいいのか。
日本養鶏協会の推計によると、24年に消費された国産鶏卵約250万㌧のうち、殻つきの卵が約8割、残りの2割は液卵などの加工卵だったという。液卵はすでに身近な存在だ。
だが、そもそも液卵は大量生産や低コスト化のための技術だ。安全をうたってはいるものの、多くの添加物が用いられている。さらにこうした工業製品化は「卵ではない卵」=人工卵、代替卵にも拍車をかける。
植物工場推奨の高市政権の下で、「戦争のための食料生産」として「テクノロジーによる解決」が急加速することを許してはならない。