成田夜間飛行差止民事訴訟 騒音被害の実情認めよ 責任逃れのNAAを追及
成田夜間飛行差止民事訴訟
騒音被害の実情認めよ
責任逃れのNAAを追及

成田空港騒音被害訴訟団による民事訴訟第9回口頭弁論が3月18日、千葉地裁(村主隆行裁判長)で開かれました。
この裁判は、成田空港の周辺住民(成田市、芝山町、多古町、横芝光町、茨城県稲敷市)が成田空港会社(NAA)に対し、午後9時から午前7時の飛行差し止めと損害賠償を求めているものです。
この日の原告の意見陳述は、成田市の騒音地区の住民Aさんです。
Aさんは以前、騒音から逃れるための引っ越しを家庭の事情で断念しましたが、「今なら引っ越しできるかと悩んでいる」と、日々騒音に悩まされる心情を語りました。(要旨別掲)。
続けて弁護団は、4者協議会(国、千葉県、地元9市町、NAA)が実施した成田空港の航空機騒音健康影響調査について、実施したNAA自身がその報告内容を曲解・否定し、「健康影響との因果関係の推測は困難」と述べていることに、逐一反論しました。
「報告書が示す航空機騒音による被害の実情を真しに受け止めようとせず、自らの責任をあくまで回避する主張を繰り返している」と断罪。「被告はこれまでどのような騒音対策を取ってきたのかを問われたが、現在までこれにまったく答えていない。騒音低減を図る対策はまったく取らず、逆に、夜間の飛行回数を調査当時と比べ圧倒的な数に増加させ、夜間の飛行時間と飛行回数をさらに拡大していこうとする行為は到底許されない」と突きつけました。
もうひとつのトピックは、突如、裁判長の交代が告げられたことです。村主裁判長は、この裁判を担当してまだ1年余り。現地調査にも意欲を示し、「3年後には結論を出したい」と語っていました。報告会でも「突然の交代には意図があるのか」「そんたく裁判にさせないように次の裁判長にも騒音の実態や心情を示していこう」などと意見が交わされました。
次回の裁判(民事訴訟)は、7月15日(水)午前10時30分開廷。行政訴訟は5月15日(金)午前11時開廷です。ぜひ傍聴に駆けつけましょう。
(神部俊夫)
------------------------------------------------------------
睡眠時間帯変更など無理
成田市Aさんの意見陳述
自宅はA滑走路北端から直線距離でおよそ11㌔北側にあり、周辺は、元々はたいへん静かだった田園地帯です。いわゆる隣接地区で騒音自体への対策はありません。
10年前に退職して、その後は自宅で過ごす時間が増えました。なので、騒音は昼夜問わず気になります。テレビが聞こえない、外では会話が中断される、またガラス戸や窓が地震かと間違えるほど振動することもあります。これが環境基準以下の騒音なのか? だとしたら基準自体がおかしいと考えてしまいます。
そして夜。空港の稼働時間内に寝ようとしても、騒音で目を覚ましてしまうことが頻繁にあります。一度目を覚ましてしまうとなかなか寝付けず、それが辛くて25時頃まで起きていることが日常的になっています。それでも翌日のことを考えて早めに寝ようと試みますが、やはり寝付けず、深酒をしてしまうことになります。もっと健康的な生活をおくりたいのですが、夜間の騒音がある以上はそれが出来ません。このような状況は、2019年秋のA滑走路運用時間帯の拡大以降、着実に増えています。
離着陸回数50万回に向けて、空港会社は滑走路のスライド運用というやり方を提案しています。これは、住民の睡眠時間帯を各滑走路の稼働時間パターンに合わせなさいという施策です。滑走路の稼働時間パターンが変わったらそれに合わせて住民も睡眠時間帯を変える、そうすれば常に7時間の睡眠時間を確保できるということです。計算上はそのとおりでしょう。が、短時間の修正ならともかく、睡眠時間帯を2~3時間も日々変えられるほど、私は器用ではありません。私にだって生活のリズムはあります。無理ですよ、滑走路の運用状況にあわせて睡眠時間帯を何時間も調整するなんて。健康を害することは明らかでしょう。
工場などが発生する騒音については、発生源近傍で騒音対策を施すことでそれなりの効果はあると思います。が、空中から降ってくる騒音は地上では逃れようがありません。ましてや外で仕事をする方からすれば、無防備状態です。耳栓でもして仕事しろと言うのでしょうか。騒音下はほとんどが農業地帯です。多くの方が昼間は外で仕事をしています。今の騒音対策は、住宅、それも特定地域の住宅の内部のみを対象にするというものです。このやり方は間違っているのではないでしょうか? 航空機騒音に限らず、騒音対策の原則は発生源側で対策することだと思っています。特に航空機騒音については被害側で対策するのは無理でしょう。地域全体を大きなドームで覆ったりしない限りは。
騒音は騒音源である空港や航空機側で対策してください。それが無理なら運行に制限を加えてください。せめて夜間21時から朝7時までは飛ばさないでください。これは内陸空港を選択した時点で覚悟したことではないのでしょうか?