明日も耕す 農業問題の今 「スマート育種」何が問題か 効率追求で食料戦時体制
週刊『三里塚』02頁(1185号02面04)(2026/06/08)
明日も耕す 農業問題の今
「スマート育種」何が問題か
効率追求で食料戦時体制
前号で取り上げた育苗新法では、気候変動等に対応するため「高温耐性・耐病性、多収性等の形質を有する重要品種を育成・普及させることが急務」だとしている。そのために推進しているのが「スマート育種」だ。
スマート育種とはどういうものか。
「スマート育種協議会」なる団体のサイトでは、これまでの品種改良で行われてきた「交配育種」に対して、「農林水産業の様々なデータ取得およびその解析に基づく効率的な育種の総称」がスマート育種だとしている。例えば、ゲノム解析を行って、生物の体をつくる設計図を読み解き、これまで偶然に頼っていた突然変異を狙った形で、格段に早く引き起こすというものだ。
協議会では、すでにスマート育種技術を用いて開発されたものとして「GABAを多く含むトマト」「食べられる箇所が増えたマダイ」「成長が早くなったトラフグ」を挙げている。
何のことはない、ゲノム編集の推進だ。
世界中のデータ
また、スマート育種には「データ駆動型育種」という技術もある。これはざっくり言うなら「AI育種」だ。
大量の育種データの取得・蓄積し、蓄積したゲノム情報とデジタル化した形質情報(作物の特性))を解析してその関連をモデル化する。
そしてAIで遺伝子型から形質を高精度で予測し、選抜効率を大幅に向上させるというものだ。
政府機関である農研機構では、世界中の様々な品種を取り込んで、あるいは日本中の品種を取り込んで育種のビッグデータをつくっている。
「これを使えば簡単に新品種をつくれる、世界に先駆けて気候変動に対応した品種がつくれる」と、AI育種を広げようとしているのだ。
AIの落とし穴
AIが出てきたので、ものは試しに「スマート育種の問題点は?」とAIに聞いてみた。あっという間にたくさんの問題点を指摘したのでいくつか紹介したい。
——遺伝子を読み解くスピードは劇的に上がったが、「実際にその植物がどう育ったか」というデータを集めるプロセスがネック。結局人間が過酷な環境の圃場(ほじょう)に足を運び目で見て計測しなければならない部分が依然として多い
なるほど、だから公的種苗を解体して協力させるのか。
——効率よく「最も優秀な組み合わせ」ばかりを追求すると、 遺伝的な多様性が失われ、未知の変化で全滅してしまう危険性をはらむ
——スマート育種は「金・人・データ」のハードルが非常に高く、一部の強者(大企業・国)に技術や権利が集中しやすいという構造的な問題点を抱えている
AIに言われるまでもなく、育種事業を国や大企業のものにし、戦時体制として食料支配をねらうのがスマート育種であり、育苗新法だ。断じて許すな。