SANRIZUKA 日誌 HP版   2006/1/1〜31    

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 2006年1月

 

〔週刊『三里塚』編集委員会HP部責任編集〕 


(2006年1月4日) 成田空港会社 仕事始め式で黒野社長 /株式上場時期遅れる(1/5朝日、読売、産経各全国版、東京千葉版、千葉日報)

 成田空港会社(NAA)の黒野匡彦社長は4日の年頭記者会見で、着実な前進と改革の推進を強調した。
 成田空港関係では、2月4日に成田新高速鉄道・国道464号北千葉道路(印旛〜成田)の着工式、6月2日には第1旅客ターミナルビルのグランドオープンが予定されている。記者会見で黒野社長は、2006年を「着実に前進する年」と位置づけ、合わせて「公団時代の古い衣が残っており、これを脱ぎ捨て空港会社として新しい衣に着替える年でもある」と、昨年の談合問題に触れながら改革推進の必要性を強調。これらを柱に1年間仕事に取り組む考えを示した。
 また、株式上場時期については「07年度中の目標は取り下げ、なるべく早い時期を目指す」と改めて述べ、08年度以降になることを示唆した。
 一方、仕事始めで同社長は、役員や幹部社員約300人を前に訓示。法令順守の重要性などを上げながら、利用者本位で透明性の高い経営を訴えた。

 【本紙の解説】
 黒野社長は新年記者会見で、北延伸の着工については、「2月4日に成田新高速鉄道・国道464号北千葉道路(印旛〜成田)の着工式、6月2日には第1旅客ターミナルビルのグランドオープン」の言葉に並んでか細く「平行滑走路の2500メートル化など着実に前進する年だ」言っただけで終わっているとのことである。「着工」の文言は、ほとんどの記事から消えてしまった。昨年末の12月28日の記者会見では「夏ごろには着工に持っていきたい」と攻撃を宣言しているかかわらずだ。07年度中の株式上場延期と官製談合事件で乱調になったのか、言動に一貫性がなくなっている。
 上場の延期問題は暫定滑走路の北延伸工事が成田空港の経営の桎梏になっていることを示している。資本の論理の費用対効果として割に合わないものであることが示された。つまり、経営的には北延伸をしない方が利益になるということである。株式上場し完全民営化したならば、「株主から利益還元を要求され工事が中止になりかねない」ということなのだ。黒野社長も記者会見で「増収を見込める時期がずれ込んだ」といっている。このことは、北延伸工事期間中の増収は見込めず、建設費だけをつぎ込むということだ。それ以上に北延伸が完成したとしても、増収は見込めないのだ。将来の増収が見込めるならば、資本の論理として「株主は工事中止を要求」するはずはないからだ。将来の増収も見込めない工事だから中止要求をするのだ。そのことを国交省と空港会社が認めたのだ。北延伸工事が完成しても、羽田4本目の滑走路完成の方が早く、アジア便は大半が羽田へ移行することを空港会社が見込んでいるから上場を遅らせたのである。
 それ以上に上場は「08年度以降、なるべく早い時期」といっているが、北延伸工事中には上場できない。その後、増収が見込めるか。実際に増収になってからとなると、それでは永遠に不可能になったというほかはない。成田空港は諸外国からの競争に敗北し、羽田、中部という国内空港との競争にも勝てないことがはっきりしたのである。

(1月5日)
 成田クリーンパーク(一般廃棄物処理場)に関する反対同盟の3回目の質問状に対する成田市の回答が寄せられた。以下は反対同盟の質問状と成田市の回答。

■反対同盟の質問状
           公開質問状(3回目)
成田市長・小林 攻 殿
                          三里塚芝山連合空港反対同盟
                          事務局長・北原鉱治

 反対同盟の11月30日付け公開質問状に対する回答が12月7日にありました。その趣旨は「空港会社との協議の内容は明らかにできません」「事態の原因者である空港会社に尋ねるべき」というものです。
 とても納得のできる内容ではありません。以下三度質問します。

(1)
 回答書の冒頭、「事態の原因者である空港会社にお尋ねすべき」とありますが、問題となっているのは一般廃棄物の最終処分場です。その管理責任は当該自治体としての成田市にあり、成田市として誠意ある回答をなすべきと考えるが、いかがでしょうか。
(2)
 回答書の第2項で「法令順守についても当然の立場であります」と意思表示されました。そうであれば協議は公開されるべきです。成田市が重視すべきことは、成田国際空港会社との関係よりもまず市民との信頼関係です。「協議の内容を話すことが相手先との信頼関係等を損なう」として成田市は、市民に対して秘密裏に協議を進めるつもりであるか否か、明らかにされたい。
(3)
 事実関係について新たに尋ねます。成田国際空港会社から成田クリーンパークの転用について要請があったのはいつか。転用の目的は何か。廃止の態様(仕方)について具体的な言及があったのか。明らかにされたい。
(4)
 成田クリーンパークに持ち込まれるゴミの発生場所と場所別の割合について明らかにされたい。

 以上、12月28日までに文書にて回答されるよう要望します。
                         2005年12月20日

■成田市の回答
 三里塚芝山連合空港反対同盟
 事務局長 北原 鉱冶様
                           成田市長 小林 攻
  成田空港の北延伸に伴う市の最終処分場について(回答)

 平成17年12月20日付けで貴職からご質問のあったこのことについて、下記のとおり回答いたします。
               記
1 ご質問の(1)及び(2)について
  平成17年12月6日付け成環計第637号にて回答済みと考えておりますので、今回追加して回答することはありません。
 なお、「市民に対して秘密裏に進めるつもりであるか」とのご指摘については、誠に残念な表現であると申し上げておきます。
2 ご質問の(3)について
 成田クリーンパークに関して、成田国際空港株式会社からお話しがあったのは、本年の8月12日が最初であります。成田空港の北伸に伴いクリーンパーク用地を空港用地の一部としたいという口頭での申し入れでありました。なお、空港会社として市の最終処分場をどのようにするか具体的な言及があったかについては、協議継続中につき回答を控えさせていただきます。
3 ご質問の(4)について
 成田クリーンパークに埋め立てた廃棄物の発生場所とその割合などは、平成16年度末現在で以下のとおりです。なお、このなかには覆土は含まれておりません。
 発生場所         廃棄物の内容     比率(容量)
 成田市いずみ清掃工場   焼却灰        49%
 (成田市小泉)
 空港ごみ焼却場       焼却灰         32%
 (成田市十余三)
 成田市吉倉衛生センター  不燃残渣       12%
 (成田市吉倉)
 成田市リサイクルプラザ   不燃残渣        6%
 (成田市小泉)
 成田クリーンヒル       し尿汚泥        1%
 (成田市吉倉)

 【本紙の解説】
 成田市はクリーンパークの転用に関して、空港会社との協議を市民に公開することなく、秘密裏に進めていくことを改めて明らかにした。成田市は「秘密裏」という言葉に「誠に残念な表現」として反対同盟を批判しているようだが、秘密裏にことを進めているのは成田市である。実際に、「空港会社として市の最終処分場をどのようにするか具体的な言及があったかについては、協議継続中につき回答を控えさせていただきます」といっているのだ。これは市民に秘密裏に事を進めていることの表れ以外のなにものでもない。
 反対同盟は空港会社と成田市とによる市民に対しての秘密協議を弾劾し、クリーンパークの空港用地の移転を絶対に阻止していく。クリーンパーク転用阻止闘争は06年三里塚闘争にとって最重要の闘争のひとつである。

(1月8日) 反対同盟の新年デモと旗開き
 反対同盟と支援は1月8日に、120人が東峰に集まり、寒風が吹きすさぶ中、天神峰と東峰をデモした。その後、旗開きを成田市内のレストランにおいて150人の参加のもと盛大に行った。詳しくは本紙参照。

■反対同盟の2006年闘争宣言

 決戦の年、2006年を迎えた。40年にわたる三里塚闘争の成否をかけて総決起するときがきた。1月、陸自東部方面隊の成田出兵を許してはならない。「夏着工」を掲げる暫定滑走路北延伸を阻止しよう。反対同盟は不退転の決意を固めている。
 昨年、攻撃は新たな段階に入った。「交渉に応じないなら北延伸を決断する」との脅迫から2年、切り崩しに失敗した空港会社と国交省は、昨年8月に暫定滑走路の北延伸を決定した。この夏にも着工すると打ち出している。
 北延伸は平行滑走路の当初計画を断念するものではない。移転強要のための脅迫である。「今の倍の10万回、ジャンボを飛ばす」というなかにこのことが明らかである。
 だが攻撃の強まりは危機の表れである。昨年暮れ、黒野空港会社社長は07年に予定した株式上場の先送りを明らかにした。「上場すれば滑走路整備が進まなくなる」と懸念している。上場株式の額面割ればかりか、北延伸による経営悪化を予測する投資家の工事中止要求を恐れているのだ。
 攻防の焦点は、「東峰の森」と廃棄物処理場(クリーンパーク)である。そして市東孝雄同盟員の農地を守る天神峰現闘本部裁判闘争である。「東峰の森」を守り誘導路建設を阻止する。天神峰・十余三、周辺一帯に環境破壊の危険が及ぶゴミ処理場の違法転用を許してはならない。官製談合が示すことはわれわれ農民を食い物にする空港会社の腐敗ぶりだ。いかに凶暴な攻撃もひるまず闘えば必ず勝てる。北延伸は阻止できる。
 戦後を一変させる改憲攻撃が始まった。イラク特措法の延長を強行し、陸自東部方面隊にイラク出兵を発令した。出発地は成田。この1〜2月に500名の兵士が成田空港からイラクに向かう。成田空港を軍服で蹂躙(じゅうりん)させてはならない。
 米軍基地再編のもとで辺野古崎新基地計画が動き出した。「日の丸・君が代」のさらなる強制と教育基本法の改悪、年金など社会保障制度の解体、労働組合解体攻撃、農業破壊など攻撃の強まりに対して、人民の怒りが地を覆っている。
 三里塚は沖縄の人々や動労千葉を始めとする戦闘的な労働者と連帯し、先頭で闘う。2・23天神峰現闘本部裁判、3・26全国集会に総決起し着工阻止へ闘い進もう。
   2006年1月8日
                          三里塚芝山連合空港反対同盟

(1月10日) 視界100メートルでも着陸OK 成田空港に最新システム (1/9千葉日報、1/10日経夕刊)

 霧などの悪天候で視界が100メートルでも着陸できる世界最高水準の着陸システム「カテゴリー(CAT)Vb」の運用が来年5月、成田空港で始まる。国土交通省によると、霧が発生しやすい釧路、熊本両空港でも来年中の運用開始を検討している。
 悪天候による成田への着陸断念は2004年度で60便。目的地以外の空港に着陸すると、航空会社は燃料費や旅客の交通費補てんなどで1便当たり数百万円の負担になる。空港会社は「新システム導入で、着陸を断念したケースのうち2、3割は救える」と期待している。
 成田空港は現在、上空の航空機から滑走路までの視認距離が200メートル以上で着陸できる「CATVa」で運用。国内では釧路、熊本空港がこのシステムで、青森、広島空港が導入を検討中。
 CATVbは、滑走路端から発する電波で航空機に進入方向と進入角度を示す計器着陸装置(ILS)に加え、航空灯火を高光度化するなどして、視界100メートルでも安全に着陸できる。航空機側の専用装置とパイロットの免許が必要になる。
 航空機を誘導する車両や、消防車には衛星利用測位システム(GPS)を搭載。視界が悪い中でも、車載モニターを見ながら空港内の正しいルートを走行可能にする。
 成田空港は台地にあり夏に霧が発生しやすいが、昨年は11月にも霧が出るなど、04年度の着陸断念は前年度の3倍に達した。

 【本紙の解説】
 CATVbの計器着陸システムは、英国・ロンドンのヒースロー空港など欧州の霧の多い地域での導入が進んでいる。日本でこのCATVbの導入が決定しているのは、成田、釧路、熊本空港の3空港。
 釧路は地域全域が霧の多いところである。釧路の春先から夏にかけて、高温多湿な小笠原気団が北上し、千島海流と衝突し、海面に霧が発生する。「海霧」(かいむ)である。釧路はどこに空港をつくってもこの海霧は避けられない。
 熊本空港は、阿蘇山と島原湾の中間、標高193メートルの高台にあり、そのために霧が発生しやすい。海洋性気候と山岳気候の中間点のため霧が起こるのである。熊本空港は海岸線での空港設置も可能だったはずであり、空港適地ではないはずである。
 地方空港は地域的特性があり、霧の多発地帯でも空港設置はやむを得ないこともある。しかし、首都から50〜60キロの周辺で最も霧が多発する地帯の北総大地に国際空港を建設したのは空港の適地判断のミスであろう。
 航空機の運航の障害を与える自然現象としては霧とともにダウンバーストがある。成田空港の北側飛行コースには、ダウンバーストの名所である利根川流域がある。ダウンバーストは、積乱雲の下で冷気を伴った激しい下降気流で、それが地表面にぶつかり強風を伴いながら水平方向へ拡がっていく現象である。
 霧の多発と利根川流域のダウンバーストから、成田は空港に最も適してない場所である。計器着陸でその危険を回避できるはずもない。空港会社の「燃料費や旅客の交通費補てんなどで1便当たり数百万円の負担」だけは回避できるということである。乗客にとって若干不便であっても霧の多いときの成田への着陸よりも羽田、中部へ代替着陸したほうが安全なのである。国際空港不適格地の成田空港はその首座を羽田に再び返上する日もそう遠くないであろう。
 また、計器着陸は妨害無線によって離着陸ができなくなるのである。昨年から米軍横須賀基地での妨害無線で羽田空港の離着陸が停止を余儀なくされている。

(1月12日) 年末年始の成田利用は微増 (1/13産経)

 東京入管成田空港支局は12日、年末年始(昨年12月22日−今年1月9日)の成田空港の出入国旅客数は約143万1200人(速報値)で、前年より約0・8パーセント増加したと発表した。
 日本人出発者は前年より約2・2パーセント減り、同支局は中国の反日デモや、中部国際空港などに旅客が流れたことが原因とみている。全体としては「テロの脅威などによる海外渡航手控えからの回復傾向を維持」としている。

 【本紙の解説】
 年末年始に限った利用客のデータなので、航空需要全体のすう勢を示すものではない。しかし、航空需要が2001年以降横ばい傾向を示していることの表れである。2001年9・11ゲリラ、03年SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行などがあり、航空需要は乱高下しているものの、すう勢的として横ばい傾向なのである。
 国交省は、国内旅客が12年度まで年平均で、国際線が約5パーセント、国内線が約3パーセント増加すると予測している。同省ではこの予測を根拠に、09年に羽田の4本目の滑走路が供用開始となって、成田のアジア便の大半が羽田に移管しても、成田の発着便数は減らないとしているのである。
 しかし航空需要が国交省予測をはずれ、横ばいのまま09年を迎えたら、成田の発着便は激減する。マーケットがそうした結果を予測したために、成田空港会社の株式上場が先送りとなったのである。民営化した場合、需要のない暫定滑走路の北延伸が株主からストップがかかるかも知れないと国交省・空港会社が説明しているのはそういう事情だ。
 1月10日に日本航空と全日空も年末年始の輸送実績をまとめ、発表した。それによると、両社とも国内線は1パーセント強の増加、国際線は日航が約5パーセント減、全日空も約3パーセント減である。アジア便の増加にもかかわらず北米便の減少が目立った。

(1月14日) 大雨で成田空港混乱、国際線21便が目的地変更(1/15日経)

 14日の大雨の影響で、成田空港に向かっていた国際線21便が、関西、中部国際空港などに目的地を変更した。
 成田空港は通常午後11時までの運用時間を15日午前1時まで延長。クアラルンプール発のマレーシア航空70便が定刻より4時間半遅れるなど、航空ダイヤが大きく乱れた。

 【本紙の解説】
 低気圧の通過で全国的に雨をもたらしたが、成田周辺では大雨になり、成田空港は一時閉鎖になった。羽田は問題なかった。パリのドゴール空港から成田に向かっていたエールフランス機は、機内から焦げた臭いがしたので、悪天候で閉鎖した成田から羽田空港に緊急着陸している。やはり成田の気象条件は空港適地とはいえない。
 住民にとって閉鎖は問題はないが、一方的に運用時間を2時間半も延長した場合、飛行コース直下の騒音地域はたまらない。とりわけ深夜の時間帯に、待機していた出発便が連続的に飛び立つので、その騒音は甚大になるのである。

(1月15日) 熱田氏引退の見通し(1/16朝日、読売、東京各全国版、朝日、東京各千葉版、千葉日報、1/17日経全国版)

 成田空港の建設に反対する「三里塚・芝山連合空港反対同盟熱田派」の元代表・熱田一氏(86)が、反対闘争から引退し、移転する見通しであることが明らかとなった。15日、成田空港近くの横堀農業研修センターであった同派の旗開きに熱田氏は出席しなかったが、同派幹部や県内外から支援者ら約50人が参加し、今後も活動を継続する方針が伝えられた。
 「北側延伸許さない」の横断幕が張られた研修センターで始まった旗開きに、毎年、一番前に座っていた熱田氏の姿はなかった。同派の事務方の男性が「熱田さんは移転することになって、今日はいませんが」とあいさつ。熱田氏の移転がある程度伝わっていたせいか、支援者らに驚いた様子はなかった。
 同派の柳川秀夫世話人(58)は「反対運動を続けていくことは必要だと思う。今年も1年がんばっていく」と話し、熱田派の活動を続けていく方針を示した。
 熱田氏は現在、空港近くの芝山町で妻と2人暮らし。昨年6月、近くに住む女婿が、熱田氏と共同で所有権を持っていた「横堀墓地」の持ち分を売却したころから、熱田氏自身も移転を考えていたという。墓地のほか、空港用地内の一坪共有地や自宅の敷地なども売却する意向で、娘夫婦が成田市に建設中の新居で同居する予定という。
 旗開きに参加した支援者の男性は「横堀墓地には同志の墓もある。熱田さんが移転したとしても守っていきたい」と語った。

 【本紙の解説】
 脱落派の新年旗開きの集いであるが、熱田元代表の脱落発表会となったようだ。熱田の脱落に批判も弾劾もせずに、「移転する」と表現しているようでは、「反対運動は必要、今年もがんばっていく」という柳川世話人の言葉もうつろに聞こえる。裏切り脱落派の末路である。
 それにしても熱田氏の脱落には度し難いものがある。移転は「健康上の理由」として、「老後の面倒をみてもらう」娘婿の元第四インター活動家に従うほかになかったとしても、一坪用地や横堀墓地まで空港会社に売却するのは、三里塚闘争への完全敵対であり大裏切りである。この横堀墓地には活動家の墓がまだあるにもかかわらず、売却するのは死者をも冒涜する行為である。
 昨年、熱田氏が闘争初期に、公団用地部の職員から借金をして土地を購入したことが本で暴露された。その噂は前からあり、その本の内容の真偽も定かではない。しかし、墓地も一坪用地も売却するとは、闘争初期からのこの裏切りを証明してしまうものである。
 脱落派は熱田氏の裏切りを予測してか、元第四インターの団結小屋の名義だけは数年前に熱田氏から加瀬勉氏に書き換えたようである。この小屋は反対同盟元副委員長で裏切り者の瀬利誠の土地に建てたものであった。瀬利が裏切ったときに、闘争拠点だけは横堀部落の代表であった熱田氏の名義に書き換えたのであった。熱田氏も少なくとも墓地ぐらいは三里塚闘争に残しておくべきだったのではないか。その点では熱田氏は、瀬利以上の裏切り者であることを三里塚闘争史上に名を残すかたちで脱落したのである。

(1月17日) 成田市 航空機騒音実態を調査/成田市民1万1000人にアンケート(1/17読売千葉版)

 航空機騒音の健康への影響の実態を把握するため、成田市と京都大大学院は、成田空港周辺に暮らす市民1万1000人を対象にアンケートを始めた。同空港では、2002年に暫定平行滑走路を使い始めた後、発着回数の増加に反して、環境省の評価方法で騒音値が低くなる「逆転現象」が確認されている。市では、同省の評価と住民が実際に感じている騒音量の落差をデータとして示し、適正な評価方法への変更を求める。
 国内の航空機騒音の評価方法は、国際民間航空機関(ICAO)が提唱した「WECPNL」と呼ばれる方法を独自に簡略化したものが使われている。これは騒音を平均化してとらえるため、瞬間的な騒音は反映されにくく、成田空港の2本の滑走路は時間帯によって騒音の差が大きいことから、逆転現象が発生するとみられている。
 成田市や県などは、現在の騒音評価方法は「住民の感じる騒音を正確に表していない」として、環境省に見直しを求めてきた。同省は評価方法の変更を検討会で議論しているが、「WECPNLを30年間使用している」などとして慎重な姿勢を崩していない。
 今回の調査では、暫定平行滑走路の使用開始後、住民が訴えていた騒音被害の拡大をとらえることが可能で、市では「これまでの主張をデータとして提出することで、改めて適正な評価方法への変更を求めたい」と話している。
 調査では、地区を騒音値ごとに細分化し、睡眠障害やストレスの程度を、航空機の飛行記録と照らし合わせながら分析する。市街地を除いた主に空港周辺の48地区2800世帯の20〜80歳代の男女が対象で、昨年12月に開始し、結果は今年中にまとめる予定。
 同大学院の平松幸三教授(音響環境学)によると、同種の調査で、これほど大規模なものは国内では例がないという。

 【本紙の解説】
 空港設置以来、成田市は騒音問題を空港からの見返り要求、財政援助の手段としてしかみてこなかった。実際に住民の立場で騒音問題に取り組んだ例はない。代表的な例は、02年に暫定滑走路を供用開始したときに、滑走路が北へ800メートル延長しても騒音コンターをその分延長しなかったことである。実際は825メートル北側へ延長したのだが、800メートルとウソをつき(05年10月3日付日誌を参照)、ジャンボ機が飛ばないことと便数が少ないことで既存の騒音コンターですませたのである。住民から反対と反発があったが、成田市は暫定滑走路が完成することに協力して住民の騒音被害を押しつぶしたのである。
 今回、成田市が大規模な騒音調査をすることになったが、基本姿勢が変わったわけではない。変わったのは空港会社である。いままでの騒音対策費や周辺対策費は民営化する前と比べて半分近くになっている。そのために、成田市ははじめて騒音の実害を調査して、周辺対策費を増額させようということなのである。
 平松幸三教授は、反対同盟の裁判で反対同盟側の立証を数回行っていただいたことがある、航空機騒音被害実態について住民側に立って調査する第一人者である。

(1月17日) 反対同盟、自衛隊のイラク出兵阻止闘争を訴える

 小泉政権は1月下旬から、自衛隊のイラク第9次派兵(東部方面隊)を3回にわたって500人の規模で行おうとしている。それも迷彩服を着用したままで民間空港から出発しようとしている。
 すでに今月7日に羽田空港から出兵したイラク復興業務支援隊100人は、迷彩服で、チャーターした日航機で出発している。軍服を着た自衛隊員に三里塚闘争を蹂躙させてはならないと、反対同盟は新年旗開きで宣言している。また、天神峰に派兵阻止の横断幕と看板を立てた(下の写真)。全力で現地闘争に決起しよう。

    

■反対同盟のお知らせ
1・28イラク出兵阻止現地闘争に総決起を!
                     三里塚芝山連合空港反対同盟

 全国の闘う仲間のみなさん。
 陸上自衛隊東部方面隊の「イラク人道復興支援群」第9次派兵部隊が、1月27日に派兵本隊(500人)の隊旗授与式を行うことが明らかになりました。成田空港の軍事基地化攻撃が強まるなかで、部隊は1月28日にも成田から出兵することが予想されています。制服を着た自衛隊が三里塚を蹂躙しようとしているのです。
 反対同盟は、1月8日の新年第1波デモで「陸自東部方面隊派兵実力阻止」の横断幕と看板を2カ所に立て、徹底的に闘う決意を明らかにしました。
 自衛隊派兵を許すな!成田出兵を阻止しよう!
 1・28イラク出兵阻止現地闘争への総決起を訴えます。
                           2006年1月17日
                 記

  陸自東部方面隊のイラク出兵阻止
  1・28イラク出兵阻止現地闘争
  日時:1月28日(土)午後1時
  集合場所:成田市東峰 萩原進さん方畑
  主催:三里塚芝山連合空港反対同盟
  (連絡先)事務局長・北原鉱治
       成田市三里塚115 電話0476(35)0062

(1月22日) 成田空港 雪害 9600人がロビーで一夜、機内に5時間缶詰めも(1/23、1/24全紙)

 関東地方を中心とした雪の影響で、航空機の運航に影響が出た成田空港では22日朝、出発便の延期や到着遅延で交通手段がなくなり、旅客約9600人が、ロビーの床に毛布を敷いて横になるなどして、前夜からの泊まり込みを余儀なくされた。21日の発着便は51便が欠航、91便が22日以降にフライトを変更した。
 21日の成田空港では、降雪で出発便の機体の除雪作業が間に合わなかったため、駐機スポットが空かず、到着便が多数誘導路で待機する事態が発生。乗客らが5時間以上機内で缶詰め状態になった便もあった。

 【本紙の解説】
 大雪の影響で成田空港は結局、21日51便前後が欠航し、そのため約1万人が空港内での宿泊を強制され、22日もその影響をうけ大混乱となった。
 この問題は、豪雪地帯でない成田での予想以上の降雪だけが原因なのだろうか。黒野社長は、26日の定例記者会見で混乱の原因を(1)天気予報以上の降雪、(2)利用者への情報・サービス提供の不足、(3)翌日22日の復旧の失敗などとしている。しかし起った事態はこれとは違う。
 まず降雪量については、千葉県成田市では数年ぶりの大雪だったことは事実だが、「予想を超えた」ほどのものでない。10センチ前後の降雪予報は事前に出されていた。問題は、成田空港の除雪機能を超えた航空機を着陸させ、欠航の決断を回避したことである。21日に成田から他の空港に目的地を変更させれば、これほど混乱しなかったはずだ。また、出発便の欠航を早めに決めれば、宿泊施設のない空港内に1万人もの緊急宿泊者をだすこともなかったのである。
 事の真相は安全対策よりも経費増を嫌う航空会社と空港の体質にある。他空港への振り替え着陸することによる経費の抑制をすべてに優先させたのだ。それで危険を承知で着陸させ、出発便も欠航させずに、翌日離陸との方針をとったのである。
 成田空港が民営化する前は、気象条件による他空港への着陸は航空会社の経費負担に関係なくやっていた。民営化の結果、空港会社が航空会社と同じように営利優先で、除雪能力を超えた無理な着陸を強行させ、出発便の欠航の判断もしなかった。その結果、暫定滑走路が臨時の駐機場となってしまい、そこで5時間も乗客が待機させられたのである。
 空港会社も航空会社も、民営化による安全性軽視の流れは止まらない。何度も大事故を引き起こしているJRと同じ道を、成田空港も走っている。

(1月23日) 成田・国道51号十余三トンネル改修(1/23千葉日報)

 成田国際空港の暫定平行滑走路を北側に320メートル伸ばし2500メートルにする北延伸整備で必要になる国道51号トンネルの改修。現在より280メートルほど長くなる新たなトンネルは、県道や市道の付け替えを伴う可能性があり、さらに夜間工事も想定されることから、2009年度中の滑走路供用を目標に掲げる空港会社では、トンネル工事の工期短縮に迫られている。
 十余三トンネルは厚さ約1メートルの鉄筋コンクリート製だが、航空機の加重には耐えられないことから付け替えが予定されている。航空法に基づく施設変更許可申請に向けて工事計画案策定に取り組む空港会社は、十余三トンネルから30〜40メートル北側に長さ約420メートルの新トンネルを建設、その完成後、十余三トンネルを閉鎖する案について道路管理者の国交省関東地方整備局・千葉国道管理事務所と協議を重ねている。航空機の重さに耐えられるよう現トンネルを補強する手法に比べて、付け替えの方が費用や時間の面で有利だという。
 また、トンネルが長くなることにより、周辺で交差する県道や市道の取り付け形態も変わる可能性がある。
 現在の十余三トンネルは3年3カ月の時間がかかった。航空機の発着時間帯を避けるため夜間作業も迫られる今回のトンネル改修工事では、09年度中という滑走路の供用開始目標を考えると工期短縮が必要不可欠だ。
 空港会社は「(北延伸整備の中で)トンネル付け替えは最優先される工事。工区分割などを検討しており工夫しだいで短縮は可能と考えている」と話す。また、県道や市道の取り付け位置変更については「生活道路でもあるので、地域の人々が不便な思いをしないよう細心の注意を払いたい」と語り、地元や道路管理者と調整していくことにしている。
 北延伸整備では、進入灯火も900メートルの標準タイプが計画されている。暫定滑走路の南側は900メートルだが、北側だけは東関道をまたぎ北に伸びることから、切り土状態の高速道路上部に管理橋などをかけ設置する案。A滑走路は南北とも900メートル。
 このほか、航空保安施設の「北総VOR/DMEサイト」も芝山町内の同社所有地に移転する。
◇国道51号トンネル 1989年12月に着工し93年3月に完成した。長さ約140メートル、幅14・5メートル、高さ4・5メートル。

 【本紙の解説】
 千葉日報の特集記事だが、北延伸工事の問題点をマスコミが珍しく取り上げた。北延伸工事の問題は数多くある。東峰の森への新誘導路建設、成田クリーンパークの埋め立て、東関道上への進入灯設置などである。しかし工事期間として最大の問題は国道51号トンネルであることは本紙でも再三取り上げてきた。09年供用開始と言うが、その可能性はないという記事である。
 現十余三トンネルも工期は3年3カ月かかった。今回は運航時間帯のクレーン工事は不可能で、夜間作業が強いられる。単純に計算しても2倍から3倍の工期になるのではという見立てだ。空港会社は「トンネル工事は最優先される工事。工区分割などを検討しており工夫しだいでは短縮は可能」といっている。
 しかし、空港会社は検討も工夫もしていないのが現状だ。トンネル工事を2年で終了するという「計画」を出す始末なのだ。昨年11月1日に空港会社が公表した「環境とりまとめ調査計画書」第1章の工事行程の表で、全体の工事が3年半以内で終わる予定の中に「51号付替工事」は第1年目の最初から工事にかかり2年で完成となっている。
 これは工事内容をまともに検討したものではない。昨年1月27日、黒野社長が定例記者会見で、「北側延伸については、北端を通る国道51号線の改修などで工期が6年強と、3年の本来計画よりはるかに長い」(05年1月27日付日誌を参照)と述べているのである。昨年8月4日に、国交省から「羽田4本目滑走路の供用開始と同じ09年度までに北延伸完成を」と指示されたことに対応し、51号線の付け替え工事を杓子定規に「2年」としたまでなのである。

(1月26日) 成田空港 蓄熱材パラフィン流出(1/27朝日、毎日、産経各千葉版、千葉日報)

 成田空港の中央冷暖房所の蓄熱タンクから蓄熱材の液体約5立方メートルが漏れ出し、一部が周辺の取香川などに流入していたことが26日、分かった。
 成田国際空港会社(NAA)によると、23日午前11時ごろ、作業員が同冷暖房所の制御部のシステムを点検した際、蓄熱タンクのバルブが誤作動で開き、蓄熱材が外部に漏れたという。漏れたのはろうの微粒子が成分のマイクロパラフィンで危険物ではないという。
 NAAは同日、タンク周辺のパラフィンを除去したが、24日朝に取香川とその下流部の根木名川が白濁しているのを見つけて、県と成田市に報告したという。
 国土交通省利根川下流河川事務所は25日、根木名川と利根川の合流地点にある新川水門のゲートを閉鎖した。県なども同日、現地で生態系への影響を調査。県は26日、NAAに流出原因と対策について報告するよう文書で指導した。

 【本紙の解説】
 空港会社は「パラフィンそれ自身の毒性はない」「微生物によって分解する」と危険性がないことを主張している。毒性がないことを理由に流出事故を公表しなかったのである。しかし取香川と下流の根木名川で計12キロにわたって川の半分が白濁する事態となり、公表せざるを得なくなった。川が白濁しなれば知らぬ存じぬを決め込もうとしていたのだ。空港会社が普段からいう「エコエアポート」とか「共生」とかの建前との矛盾をどう説明するのだろうか。
 パラフィンを使った蓄熱システムは「エコエアポート」のために02年から空港会社が代替フロンとして開発したようである。空港会社の「地球環境とエネルギー」に説明がある。「このシステムは、夜間電力を使用して製造された冷水で蓄熱し、冷房需要の大きい昼間に蓄熱材から熱交換により冷水を得るものです」とある。
 しかし、空港周辺の環境や生態系を破壊しておいて、それを公表もせずに済まそうとする姿勢に空港の本質がある。空港と周辺住民の生活は相容れない。「エコエアポート」はその隠れ蓑にすぎないのだ。

(1月26日) 成田空港の05年利用客、過去最高の3155万人(1/27朝日、日経、東京各全国版、読売千葉版、千葉日報)

 成田国際空港会社は26日、2005年の同空港利用客数が前年比約1パーセント増の約3155万人、航空機の発着回数が同2パーセント増の約18万8200回となり、いずれも過去最高を記録したと発表した。
 路線別の利用客数では、中国線が反日デモがあったにもかかわらず前年比約3パーセント増。東南アジア線が同3パーセント増、欧州線も同2パーセント増と好調だった。同社は「05年は、イラク戦争や重症急性呼吸器症候群(SARS)のような大きなマイナス要因がなかったことが幸いした」としている。

 【本紙の解説】
 成田空港の航空旅客数は前年比1パーセント増で過去最高とはやし立てているが、実情はそんなに甘いものではないようだ。国交省は、国内旅客が2012年度まで年平均で国際線が約5パーセント、国内線が約3パーセント増加すると予測して空港整備計画を立てている。羽田空港4本目の滑走路供用開始の09年度までに国際線が年間5パーセント増加していることを前提に羽田に成田からアジア便を約3万便移行するとしている。しかし05年は、SARSなどのマイナス要因がなかったにもかかわらず、旅客数で1パーセントしか増えなかった。これでは09年の羽田完成で成田はガラガラになってしまう。
 また、アジア便は中国便を中心に堅調な伸びを示しているが、欧米便はそれほど伸びていない。またアジアも欧米便も格安なパック旅行の割合が増加しており、航空会社では減収になっている。そのために日航は収支悪化のため4つの国際定期便の撤退を1月22日に明らかにした。その中には成田―ラスベガス(週3便)も含まれる
 堅調なアジア便が羽田に移行になり、撤退気味の欧米便が成田という棲み分けになりそうなのである。年に1パーセントの増加では成田空港会社の台所は火の車となる。この航空需要の推移、羽田4本目の滑走路の供用開始、それと北延伸工事の無駄遣いのために07年度の上場を見送ったのである。

(1月28日) 反対同盟 自衛隊のイラク出兵阻止闘争を闘い抜く

 反対同盟は28日午後、三里塚第一公園において「自衛隊のイラク派兵阻止」「三里塚を軍服に蹂りんさせるな!」のスローガンを掲げ、現地闘争を闘いとった。120人の労農学が参加した。
 三里塚第一公園での集会・デモは、1985年10・20三里塚十字路闘争以来、実に21年ぶりとなった。集会後、参加者は三里塚交差点から新駒井野を経由する周回デモを戦闘的に闘い抜いた。(詳しくは本紙参照)

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