SANRIZUKA 日誌 HP版   2005/12/1〜31    

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 2005年12月

 

〔週刊『三里塚』編集委員会HP部責任編集〕 


(12月1日) 成田空港 穴掘り侵入? 犬2匹が逃げ回る(12/2朝日、読売各千葉版)

 成田空港内に1日昼、犬2匹が外から侵入して2時間近く走り回り、この影響で暫定平行滑走路(2180メートル)が一時閉鎖された。成田国際空港会社によると、成田空港は侵入防止のため周囲が地上約3メートルのフェンスに囲まれているが、犬は地中に穴を掘って出入りしたらしい。
 同社によると、午前11時45分ごろ、同滑走路わきの緑地帯に2匹の中型犬がいるのを巡回中の警備員が発見した。一度は東側の林に逃げ込んだが、午後0時35分ごろ再び滑走路近くに現れたため、同社は0時37分から6分間滑走路を閉鎖した。
 2匹は警備員らの追跡を振り切り、南に約1キロメートル離れた第2旅客ターミナルビル付近まで“寄り道”しながら、1時20分ごろ、同ビル東側のフェンスの下から空港外に出た。この間、発着ダイヤに大きな乱れはなかった。
 犬がペットか野良犬かは不明。同社では「滑走路にはまれに猫などが侵入するが、犬が2匹で来た例は聞いたことがない」と話している。

 【本紙の解説】
 厳戒態勢の成田空港にとってはみっともない事態であろう。犬がトンネルを掘って、フェンスの下をくぐったらしいが、それはかなりの時間が掛かっているはずである。監視塔からも、監視カメラでも発見できなかったのである。暫定滑走路の過半が管制塔から死角になっていることは有名なことだが、監視塔からも死角になっている。北延伸したら、もっと死角が増えそうである。
 また、犬を捕獲できずに取り逃がしている。NAAは組織ぐるみの不正(官製談合)を取り締まることもできない会社だが、不正に入り込んだ犬も取り締まれないようだ。

(12月1日) 成田新高速と北千葉道路年度内に着工へ(12/2千葉日報)

 成田空港と都心を結ぶ新たな交通アクセスとなる成田新高速鉄道と一般国道464号北千葉道路(印旛−成田)の建設事業で、事業者による環境影響評価書が1日、公告された。20日には県都市計画審議会に関係議案を付議、可決されれば両事業は年度内に着工の見通し。
 同事業では、県立公園指定の北印旛沼周辺地域やオオタカなど希少鳥類の生息地を横断。評価準備書に対しては「着工前にヨシ原の造成など生息環境を早期に確保すべき」(環境相)などの意見が出されている。
 両事業者はこれらの意見にふまえた評価書を1日、県報に登載した。県や成田市など関係市町村で1月4日まで縦覧。また、今月20日には県都市計画審議会に関係8議案が提出される。
 可決後、国交相の認可を経て、事業は年度内にも着工される見通し。県道路計画課は「地元説明会を開き用地買収を進める一方、買収の不要な所から着工したい」としている。
 一方、新高速鉄道をめぐっては、地元成田市などが「土屋駅」の設置を求めているが、事業者の成田高速鉄道アクセスは「現状では計画に含まれていない」としている。
 新高速は既存のJR、京成に比べ、都心と空港をより短時間(最短36分)で結ぶアクセス。2000年1月に運輸政策審議会が「開業が適当な路線」と位置づけた。
 両事業は一体的に整備され、鉄道では現在の北総線「印旛日本医大駅」から成田空港までの約19キロを延伸。途中、「成田NT北駅」(仮称)が設置される。

 【本紙の解説】
 成田新高速鉄道にかかわる環境アセスメントが、環境団体などが提案していた印旛沼付近のルートをトンネル化する案を退け、「ヨシ原の造成」でお茶を濁すことで基本的に終了した。これで本年度中に着工する見通しとなった。
 しかし、成田市をはじめとして周辺自治体は、事業費への地方自治体負担分が重荷で、あまり歓迎していない。特にその傾向は成田市に顕著である。成田市は新高速鉄道の総事業費1286億円の内100億円を地元自治体として負担することになっている。国の補助が424億円、千葉県の負担が167億円であることと比較して、成田市の負担額はかなり高額だといえる。
 成田市はもともと、成田新高速鉄道の完成に市の発展を託してきた。工事実施にむけて、市をあげての運動をつくったが、最大の眼目だった土屋駅の設置方針が通らず、その運動は消滅した。その結果、市は成田新高速鉄道事業そのものに対する“敵意”すら隠さなくなった。京成線のスカイライナー号が完成後の成田新高速鉄道線を走ることになり、現在の京成成田駅(成田山新勝寺を擁する)にはスカイライナーが通らなくなるためだ。京成線本線の成田〜高砂間は一転してローカル線に転落するのだ。成田新高速鉄道の事業推進運動を盛り上げてきた成田市自身の思惑は完全に外れたのである。
 しかし成田高速鉄道は、実は営業ベースで採算の取れない赤字路線に転落することは必至だ。結局、赤字のしわ寄せは地元自治体にのしかかることになる。芝山鉄道が良い先例だ。成田市は、市の発展にマイナスの効果さえもたらす鉄道の営業赤字を自分で補填しなければならない羽目に陥っているのだ。「年度内着工」を歓迎できないのも当然だろう。

(12月2日) 成田空港 工事発注不正防止委設置(12/3日経全国版、毎日、産経各千葉版)

 重電メーカーによる談合事件で、成田国際空港会社(NAA)は2日、社内に不正防止を目的とした「工事発注不正防止委員会」を設置すると発表した。6日に発足し、年内をめどに発注・契約にかかわる不正防止策をまとめる方針。
 委員会は有識者6人で構成され、高千穂大客員教授で「成田空港地域共生委員会」の代表委員を務める山本雄二郎氏が委員長に就任予定。第1回会合は同日都内で開かれNAA側から黒野匡彦社長、田辺英夫副社長、上子道雄、徳田彰士・両常務ら7人が出席する。
 同社は、競売入札妨害容疑で11月18日に東京地検特捜部の家宅捜索を受けた。
 山本氏以外の委員会メンバーは次の通り。
 委員長代理 地頭所五男・城西国際大教授(元公正取引委員会事務局長)▽委員 書上由紀夫弁護士(元大阪高検検事長)▽同 和田衛・NAA顧問弁護士(元東京地検検事)▽同 小林幹・工学院大教授▽同 藤村和夫・筑波大法科大学院教授

 【本紙の解説】
 旧公団の談合事件は組織ぐるみであり、民営化した現在も継続して行われていることが、報道でも明らかにされている。にもかかわらず空港会社と黒野社長は、そのことでの正式の「遺憾表明」や「陳謝」を行っていない。空港会社が11月18日に、東京地検特捜部から家宅捜索を受けたとき、黒野社長は「昨年4月の民営化後、透明性のある経営に取り組んできたが、関係者に迷惑をかけて、おわび申し上げる。再発防止と信頼回復に傾注し法令を順守していく」などと記者向けにコメントを出しただけである。
 空港会社全体に談合体質が組み込まれ、収賄とたかりの体質が蔓延しているので、自浄能力などありようもなく、正式な謝罪表明もできないのである。
 11月24日の定例記者会見(05年11月24日付日誌を参照)で黒野社長は、「公団あげての談合はなかったと断言できる」と見栄を張った。しかしその後、事件は組織あげての談合だったことが報道された。談合の証拠になった配分表を元電気課長が作成し、その元課長と上司らが出席した工務部の内部会議で討議され、工事ごとの落札予定メーカーを最終決定していたことが明らかになったのだ(27日)。また昨春の民営化後も、こうした体質を改めるような措置はとられていないことも指摘されている(同)。
 空港会社は、民営化されたといっても、現状は株式を全額、国が保有する特殊会社であり、決算も会計検査院の検査対象だ。役職員は「みなし公務員」なので、わいろを受け取るだけで犯罪となる。
 今回の重電メーカーの談合事件は、防衛施設庁と国立大学と空港会社が舞台となった。防衛施設庁と国立大学は自民党代議士関係が取り仕切った談合だが、成田空港は典型的な官製談合だった。空港会社(前身は旧空港公団)そのものの体質が問題なのである。
 逮捕者が複数でることが予想される事態となり、誰と誰が逮捕されるかをめぐり、工務部内部は戦々恐々となっている。今回、社内に「工事発注不正防止委員会」なるものを設置したが、その目的はこれ以上逮捕者の数を増やさないことだ。「不正防止」と称して、実はまだまだ存在する官製談合の事実を隠したいのである。
 NAAが自ら組織の膿(うみ)をだすことは不可能だ。本気で腐敗にメスを入れるようなことをしたら、空港会社のすべての役職員が逮捕され、会社は崩壊してしまうだろう。それゆえの「不正防止=隠ぺい」策なのである。NAAが何か良いことを始めたなどとは、間違っても事実を取り違えてはならない。

(12月5日) 官製談合/元公団課長ら2人逮捕(12/6全紙)

 成田空港の電機設備工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は5日、電機メーカー側に発注予定価格に近い金額を漏らしたとして、競売入札妨害容疑で発注側の旧新東京国際空港公団の元工務部電気課長客野容疑者(55)と元工務部次長伊藤貞夫容疑者(57)を逮捕し、伊藤容疑者宅を家宅捜索した。
 談合が疑われる工事のうち、特捜部は旧公団側がメーカーに職員の再就職ポストを求めたり、天下ったOBが受注増を働き掛けるなどしたケースを悪質とみて摘発した。
 旧公団側が長年にわたり複数のメーカーとの間で受注調整を繰り返していたとみて“官製談合”の全容解明を進める。また防衛施設庁ルートについても捜査を続ける。
 工事を受注したメーカーの担当者は容疑を全面的に認めているほか、談合を主導したのは旧公団側であることから、在宅で起訴する方針。
 調べでは、客野容疑者らは東芝(東京都港区)、日新電機(京都市右京区)、富士電機システムズ(東京都品川区)の3社の営業担当者と共謀。2003年7〜12月に実施された成田空港の3つの受変電設備工事の入札に先立ち、各社の担当者に予定価格に近い金額を漏らし、公正な入札を妨害した疑い。
 各入札は3社が予定価格に迫る高額で落札。旧公団側は特捜部の任意の調べに「メーカーとの直接交渉で価格を下げさせようとしていた」などと供述したが、メーカー側は民間工事より高率の粗利益を得ていたという。
 伊藤容疑者は旧公団で、客野容疑者の前任の電気課長。異動後も上司の立場にあり、客野容疑者がメーカー側に価格を漏らしていたことを了承していたとみられる。

 【本紙の解説】
 空港会社の幹部職員が2人逮捕される事件までに発展したが、これは氷山の一角であり、空港会社=旧公団の建設工事は例外なしに談合であり、贈収賄がつきまとっている。今回逮捕に発展したきっかけは、空港公団作成の「配分表」が防衛施設局関連の汚職捜査で偶然的にメーカーから流れたことだった。
 公団の工事落札率はほとんどが90パーセント台後半に集中している。談合以外の何ものでもないことは誰もが知るゆえんだが、「証拠」がないので事件にならなかっただけだ。そもそも公団関連の汚職捜査は行わないという不文律さえあった。
 今回の工務部電気課の官製談合は天下りを見返り条件にしている。天下りしているメーカーと、今後の天下りを約束してくれたメーカーが落札している。電気課は総員7人の小所帯の課であるが、すでに重電メーカーに8人が天下りしている。基本的に退職者全員が天下っていたのだ。その天下りのすべてが官製談合がらみなのである。
 見返りは天下りだけではない。発注担当者への飲食接待、ゴルフ接待、商品券の贈り物など接待攻勢もすごく、それが民営化後も継続していることが報道されている。これが空港会社の実態なのだ。
 こうした事実が明らかになっているにもかかわらず、黒野社長は謝罪会見で、本件が組織ぐるみの犯罪であることを否定している。新聞記者が「公団の体質に問題があったのか」との質問に、「個人的には長い期間のものでも横に広がるものでもないと思う」と答えている。新聞記者の質問の公団体質とは、収賄・たかり体質のことである。これほどの犯罪が発覚してなお、社長が社内の風潮や体質の改めようとしないのなら、談合・収賄・たかり体質は温存されるだけだ。
 外部の人材を招いて設置した「工事発注不正防止委員会」も、社会の批判をかわし、他の談合を隠ぺいするための隠れ蓑として設置されたという他ない。
 「空港反対闘争を利する」との口実で公団の不正摘発はタブーとされてきた。肥大化した公団のたかり体質は温存され、現在の空港会社にもそのまま引き継がれていることがはっきりしたのである。

(12月6日) 成田空港 2つある管制塔(12/6産経千葉版)

 成田空港の真ん中に仲良く並ぶ管制塔。1日に約530便が発着する忙しい空港とはいえ、2つあるのは国内でもここだけだ。
 北側にある高い方が国土交通省の管制塔。1993年2月からナリタに出入りする航空機すべての管制業務を行っている。高さは87メートルで、羽田空港の新管制塔(116メートル)が完成するまでは日本一だという。
 面白いのは、管制官の“船酔い”を防ぐ制振構造を取り入れているところ。春先に吹く名物の強風はそれほど手ごわいのだ。よく見ると、壁面に風を逃すための吹き抜けがある。「上層階にはタンクに入れた水がいくつも置かれ、揺れを吸収する工夫がしてある」(国交省)そうだ。
 一方、低い方は成田空港会社が運営する「空港管理ビル」だ。1978年5月の開港時に1番機を迎えた旧管制塔(65メートル)で、第2旅客ビル建設で死角ができることが分かり、現管制塔に役割を譲った。管制室として使われた16階の中央運用室に社員が24時間態勢で詰め、滑走路と誘導路以外の航空機を適切な場所に導く駐機場管制を担っている。
 ところで、ナリタにもう一つ管制塔ができる可能性もある。暫定平行滑走路を北に延ばして2500メートル化すれば当然、滑走路の北端部が見えにくくなるからだ。果たして管制塔がずらりと3つ並ぶ光景が見られるのかどうか。ちょっと楽しみだ。

 【本紙の解説】
 この成田空港「第3の管制塔」問題は、北側延伸の本当の狙いをハッキリさせる意味でも重要なキーワードである。現在の暫定滑走路でも滑走路の過半は管制塔からは死角になっている。視野をさえぎっているのは、ホテル日航ウインズ、市東さん宅の立木、成田パブリックゴルフ場の森である。北側再延長部分はすべて死角になるといわれている。にもかかわらず、10月3日に発表した北延伸計画概要(05年10月3日付日誌を参照)では、この第3の管制塔計画は出ていない。
 羽田空港では、D滑走路を空港南側に建設するが、「現在の滑走路から遠く見通しが悪いため」という理由だけで、現在の管制塔より約200メートル南に新管制塔を建設する。高さ116メートルで日本一の、世界で第3位の高さである。空港の管制塔は「見通しが悪い」というだけで、30億円の建設費をかけて造るのである。羽田空港の現在の管制塔は93年に完成した。耐用年数は38年。新管制塔が09年に完成した場合、約17年間の使用で役目を終えることになる。管制塔の視野、見通しはそれほど重要なのである。
 成田の「高い方の管制塔」は93年2月から供用開始している。羽田の管制塔と同じ年齢である。暫定滑走路は「見通しが悪い」どころか、過半が「死角」になっているのである。第3の管制塔を建設しない理由は、滑走路が暫定であるからだ。南側に延びる本来計画の2500メートルが基本だからである。そのために、死角であっても第3の管制塔は建設しなかったのである。今回の北延伸も暫定計画だ。しかも北延伸の本当の狙いは、ジャンボ機を飛ばして地権者を騒音でたたき出すことにある。第3の管制塔建設を出したときはそれを断念したときなのだ。
 管制官は危険きわまる管制を強いられているので、成田の管制業務は地獄の労働だと愚痴をこぼしていると聞く。

(12月7日) 最終処分場についての成田市の回答

 成田クリーンパーク問題に関しての成田市の回答(05年11月15日付日誌を参照)に対して反対同盟は再公開質問状を提出していた。その回答が11月6日付で7日に反対同盟に届いたので公表する。
 以下は再公開質問状とその成田市の回答である。

■反対同盟の再公開質問状
成田市長殿
                   三里塚芝山連合空港反対同盟

             再公開質問状
 反対同盟による11月9日付公開質問状に対する成田市長からの回答が11月15日にありました。その内容は「成田国際空港会社と協議中のため回答できない」というものでした。これは住民無視と反対同盟黙殺の極みであり到底納得できません。成田クリーンパークは一般廃棄物の最終処分場であって、埋立て物の大半が一般廃棄物の焼却灰とされております。同焼却灰は猛毒のダイオキシンの塊であるため、クリーンパークの転用問題は深刻な環境汚染に直結します。現に当該地区である十余三、小泉地区住民そして隣接する天神峰、東峰地区住民からは「問題の経緯と処理方針を明らかにしてほしい」旨の声が上がっております。
 当該住民は何年にもわたる日夜の大騒音、排気ガス等の環境被害に加えて今度は健康に直結する地下水汚染の不安にかられているのです。市民の健康を優先的に守る義務のある成田市当局の責任は重大と考えます。そのような立場から以下、再質問します。12月8日までにご回答下さい。

(1)
 「成田国際空港株式会社と協議中」とあるが、協議の中身を明らかにされたい。もし明らかにできないとされるならその理由を明示されたい。
(2)
 前回質問状の第1項で「一般廃棄物最終処分場を空港用地に転用する場合は、処分場を廃止する方法によるしかないと考えるが、いかがか? 廃止の場合、埋立てた廃棄物の飛散や流出、浸出液による地下水汚染や火災が発生しないことなど安全確認のための検査・手続きが必要である。当該処分場の場合の検査方法と手続き期間を明らかにされたい」と尋ねた。これは「成田国際空港会社との協議」いかんに関わらず答えられる内容と考える。特に後段部分は一般的かつ技術的質問である。この項目について回答されるよう再び尋ねる。
(3)
 クリーンパークに埋められているゴミの中身について焼却灰の割合を含めて明らかにされたい。

■成田市の回答
平成17年12月6日
三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長 北原鉱治様
                     成田市長 小林 攻

 成田空港の北延伸に伴う市の最終処分場について(回答)

 平成17年11月30日付でご質間のあったことについて、下記のとおり回答いたします。なお、本件に係るご質問でありますが、本市は空港会社から用地交渉を受けている立場でありまして、貴職におかれては、前回のご質問も含めて今回の事態の原因者である空港会社にお尋ねすべきものと考えますので、念のため申し添えます。
               記

1.
 空港会社との協議の内容は明らかにできません。その理由は、協議継続中であるためです。協議継続中にあって、その内容をお話しすることについて相手先との信頼関係等が得られるとは考えておりませんので、ご理解をお願いいたします。
2.
 市の最終処分場をどうするかは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の規定に基づいて行われることとなります。また、法令順守についても当然の立場にありますので、法令以上のお答えはありません。
 また、現在の市の最終処分場は埋立て途中であるため、今後の手続き等の期間などを判断できる時期でもありませんので、ご理解をお願いいたします。
3.
 平成16年度末現在で、市の最終処分場に埋立てした内容と量の合計などは以下のとおりです。なお、端数は四捨五入としており、割合は容量に対する比率としております。
(1)焼却灰 111、037トン( 85、416立方メートル) 67パーセント
(2)不燃残渣 20、698トン( 19、523立方メートル) 16パーセント
(3)し尿汚泥  1、552トン(  1、290立方メートル)  1パーセント
(4)覆土   32、801トン( 20、501立方メートル) 16パーセント
合計     166、088トン(126、730立方メートル)100パーセント

 【本紙の解説】
 前回の公開質問状(11月9日付)の回答拒否に対して、反対同盟がビラ(後掲)をJR成田駅、京成成田駅、市役所前、処分場周辺にまいたことから、今回は完全無視はできなくなった。そもそも、市の行政を秘密裏に行ったり、公開質問状を基本的に無視することは地方行政としてあってはならないことである。
 今回の回答書で成田市が「法令順守についても当然の立場」と明示したことは重要だ。少なくとも、空港会社と協議して何とかすり抜け方法を探していたことにクギを刺したといえる。
 しかし、まだ空港会社との協議内容を秘密にしている。成田市は「空港会社から用地交渉を受けている立場」とか、空港会社との「信頼関係等が得られるとは考えておりません」と称して秘密交渉の理由にしているが、市の立場は市民の生活と環境を守る立場であり、市民からの信頼を優先すべきだろう。空港会社との協議内容を市民に明らかにできない理由は、違法な転用を論議しているからなのだ。
 また成田市は、空港会社から違法転用を強要されている「立場」ともいえる。だから、「質問は空港会社にしてくれ」とか、受け身の立場であるとか言っているのだ。
 行政である以上、市民に対する秘密主義を許してはならない。市長は空港会社との協議内容を明らかにせよ! 問題になっている官製談合も秘密主義がその要因のひとつだ。成田市への建設申請の中でメーカー名を秘密にしていたことも問題になっている。それを許していたのは成田市であった。
 反対同盟は成田市の処分場転用の秘密協議を許さずに闘い抜くだろう。

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■(資料)反対同盟のビラ

ゴミ処分場の違法転用を画策/滑走路北延伸で空港会社と成田市、秘密裏に
地下水のダイオキシン汚染も

 暫定滑走路(2180メートル)の北側延伸をめぐって、成田空港会社が、危険な一般廃棄物最終処分場(成田クリーンパーク=成田市十余三)を違法に転用しようとしていることが明らかになりました。
 クリーンパークは家庭ゴミの焼却灰や不燃性廃棄物が埋められている最終処分場です。この焼却灰には大量のダイオキシンが含まれています。このクリーンパークが北側延伸後の滑走路の北端からわずか50メートルの場所に位置するため、進入灯用地として必要になりました。
 ▼法を守れば転用に5、6年
 そこで空港会社は成田市に対して、同パークを廃止して転用したい旨申し入れたのですが、最終処分場の廃止には漏れ出す排水などが安全基準を満たすことが条件になっているのです。(同法9条5項など)
 クリーンパークができたのは1989年。当時は規制がゆるかったため、処分場の底に敷かれているシートは薄くもろいもので、ダイオキシンを含んだ排水がすでに漏れ出している可能性すらあります。こうした場合、自然の力で浄化され安全基準をクリアーするのには最低でも5、6年かかると言われています。つまり、クリーンパークを廃止しようとしても5〜6年かかることになり、2009年を目標とする暫定滑走路の北側延伸には間に合いません。
 ▼秘密体質が生んだ管制談合の悪事
 そこで空港会社は成田市当局と示し合わせて「土をかぶせただけでクリーンパークを空港用地に転用してしまおう」という違法行為を画策しているのです。もしこの違法を許せば、成田市十余三、小泉、堀の内、長田、天神峰、東峰地区など周辺の地下水汚染がさらに進むばかりか、会社と市が組んだ違法行為がまかりとおることになります。反対同盟は市長あてに2回の公開質問状を送り追及を開始しました。環境破壊を許さないためともに声を上げましょう。官製談合事件で会社が空港建設を食い物に私腹を肥やしていることも明らかになっています。空港会社の違法行為を監視しましょう。

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(12月10日)今年最後の現地闘争と忘年会/反対同盟
 
 反対同盟は10日、暫定滑走路北延伸攻撃と対決する現地闘争を、東峰地区の空港敷地内(開拓組合道路上)で行い、焦点となっている成田クリーンパークまでデモ行進した。首都圏から約100人の労働者や学生が参加した。
 また一年間の闘いの労をねぎらい、決戦の年に向かって団結を新たにするための忘年会も行われた。(詳しくは本紙参照)

(12月10日) 北延伸/予測コンター縮小地域の騒音区域は見直さず(12/11千葉日報)

 成田空港の暫定平行滑走路を北に延伸して2500メートル化する滑走路整備に伴い、成田国際空港会社が提示した騒音コンター(騒音影響区域)に対応、千葉県が騒特法に基づき行う「騒音対策基本方針」の見直し方針案が10日までに、成田市など関係8市町に提示された。方針案では、騒音が拡大すると予測される平行滑走路の北側地域では、航空機騒音の防音補助や移転補償の対象となる騒音対策区域を拡大する見直しを行う。また、4000メートル滑走路(A滑走路)周辺などで騒音コンターの縮小が予測される地域では、住民の生活環境保全の観点から原則として見直しはせず、現行の騒音対策を後退させない姿勢をみせた。県では年明けの1月上旬にも、見直し方針案に対する関係市町の意見を聞きながら騒特法に基づく具体的な協議に入り、今年度内に県素案を作成したい考え。
 空港会社は10月3日、暫定平行滑走路を北側に延伸して本来計画の2500メートル化した場合の騒音コンターを県などに提示した。
 それによると、A滑走路と平行滑走路南側では航空機機材の低騒音化などで現行より騒音対策区域が縮小。逆に、平行滑走路が北側にずれた影響で同滑走路北側地域では、成田市久住地区や下総町など現行の騒音対策区域より約1キロ北に騒音コンターがはみ出した。
 千葉県が先月30日付で関係8市町に示した騒特法の「航空機騒音対策基本方針」の見直し方針案では、この騒音コンターを基本に、現行の範囲を超える地域では騒音対策として防音補助を行う現行の「騒音障害防止地区」と、移転補償の対象となる「防止特別地区」を拡大する見直しを行う。
 その際、民家などの移転が伴う「防止特別地区」については、騒音コンターによって既存集落を分断しないよう、現行の「地区」を決めた設定基準に沿って配慮する。
 また、A滑走路と平行滑走路南側などで騒音コンターの縮小が予測されている地域は、「周辺市町などの意見を踏まえ、地域住民の生活環境保全の視点から、原則として見直しは行わない」として、継続して騒音対策の対象地域としていく考えを示した。
 千葉県では現在、この見直し方針案について国と事前協議中で、国や関係市町の合意が得られれば、年明けの1月上旬にも国、県、関係市町、空港会社と騒特法に基づき、騒音対策区域変更や土地利用などの方向性など具体的な協議に入り、年度内に千葉県素案作成にこぎつけたい意向。

 【本紙の解説】
 A滑走路の「騒音コンターの縮小が予測される」と断定しているが、果たしてそうなのか? 厳密な検証が必要である。航空機のエンジンがジェットターボジェットエンジンからジェットファンエンジン(ファンで取り入れた空気を燃焼させる分と燃焼させずに排出する空気に分けるエンジン)に転換し、その燃焼させない空気の割合が多い、バイパス比の高いエンジンが主力になっていることから最新型航空機の方が航空機自体の騒音は低くなっている。しかし、騒音値は航空機自体の騒音とその数、時間を計算し、暗騒音(航空機が飛んでない時の騒音の値の平均値)との乖離(かいり)で決まる。それが加重等価平均感覚騒音レベル=うるささ指数である。
 A滑走路延長上の騒音コンターで最近問題になったことは、B滑走路=暫定滑走路が開港して暗騒音が高くなった結果、騒音の絶対値は高くなっているにもかかわらず、うるささ指数は低くなるという逆転現象である。うるささ指数はICAOで承認された国際基準だが、このような問題も多いので、使っている国は少ない。
 また、騒音コンターの問題とは別に、A滑走路にかかわる旧公団=NAAと成田空港周辺市町村議会連絡協議会(騒対協)との協約がある。成田空港の年間発着回数の限度はA・B滑走路合計で20万回となっている。A滑走路が13・5万回、暫定滑走路が6・5万回で計20万回である。
 A滑走路については、暫定滑走路完成前に年間12万回から13・5万回に増便された。この時に、騒対協との間で、B滑走路が完成したらA滑走路は年間12万回に戻し、B滑走路を8万回にして計20万回にすると約束していた。しかし、B滑走路が供用を開始しても、A滑走路を12万回に戻す約束を一方的に反古にし、13・5万回のままにしてしまった。そのため、うるささ指数が下がったとして、騒音コンターを縮小した場合、この問題が蒸し返されるので、御仕着せがましく「縮小しない」としているのである。
 では騒音コンターに組み込まれることが騒音下住民にとって「利益」なのか、決してそうではない。騒音下に組み込まれると、騒音で生活自体が苦しめられるだけでなく、土地などの資産価値が確実に下がる。その下落幅は、騒音対策の補助金でまかなえる額を数倍超えていると騒音下住民は主張している。空港がきても、結局利益は何一つなかったというのが現実の周辺住民の声だ。待ち受けているのは廃村化だけなのだ。

(12月15日) 天神峰現闘本部裁判闘争 第9回口頭弁論

 天神峰現闘本部裁判の第9回口頭弁論が12月15日、千葉地裁で行われ、最大の争点である地上権の存在をめぐり、原告NAAのデタラメな認否(準備書面8=11月15日付)を質す求釈明や、建物構造の詳細な解明、現闘本部建物の実証検分申し立てなどが行われた。
 弁護団は今回の弁論で、木造建物(旧現闘本部)が独立性を保って現存し、かつ鉄骨の増築部分は同一性を有する構造を詳しく提示した。建物の登記がなされている事実(前回弁論)と合わせ、地上権の存在はこれによって完璧に論証された。
 この建物構造の事実を確定させるために、今回、弁護団は実証検分実施を強く要求した。これに対して、木造の旧現闘本部建物が存在しないかのような主張の上に「地上権の不在」を言い立てる原告側はこの検分要求を「保留」した。建物の撤去を主張する原告自身が、現場の実証検分に難色を示すのはいかにも不自然で、原告としての自信のなさが浮き彫りになったといえる。
 また弁護団は原告書面に対して釈明を要求し、地代支払いの事実についての原告側の破たんした認否を質した。原告は、領収証が明示な形で存在し、金銭授受の事実も実質的に認めていながら、それは「単に形だけのもの(?)」だとの曖昧模糊(あいまいもこ)とした認否を提出していた。これに対し同盟弁護団は「形とは具体的に何をさすのか明らかにされたい」等と厳しく追及した。
 原告NAA側はこの日も反論できず沈黙、被告・反対同盟側弁護団の要求をうけて年内に文書で回答する事を確約させられた。
 次回弁論は2月23日に行われる予定。反対同盟側は原告が提出した認否(前出)の詳細を逐次追及し、「あくまで使用貸借で地上権は存在しない」とする原告側主張の虚偽を徹底的に明らかにする予定だ。
     *
 弁論終了後の記者会見で、顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士は「原告の認否は『お金は受け取ったが、これはお金とは考えていない』という類の三百代言(詭弁)だ。また現場の検分を保留するとは原告として許されない態度だ」と、NAA側を厳しく批判した。
 その後行われた支援する会例会で、反対同盟の萩原進事務局次長は「裁判は山場を迎えた。第2期の支援する会運動をもう一歩広げることが大事だ」と訴えた。また暫定滑走路の北延伸攻撃に関連して、NAAが東峰地区で騒音事前調査などを始めた事実を摘発し、これを地区住民と共に厳しく追及したことを報告、着工阻止の決戦を全力で闘い抜こうと呼びかけた。
 また代表世話人の戸村義弘さん(三里塚教会信徒代表)は、「多くの皆さんの参加を感謝します。この裁判に本当に勝利する道は、この硬直した社会全体を変える闘い、すなわち革命を起こすことにも通じる闘いだと思います」との思いを語った。
 全関西実行委からこの日の弁論傍聴に駆けつけた世話人の永井満さんは、「来年は三里塚決戦の年だ。何があっても運動の勢いを盛り返そうと決意している。関西の運動の基盤は三里塚。故・戸村委員長の『闘いは権力との階級闘争なのだ』という檄が忘れられない。皆さんと闘う気持ちを共有したい」と熱い言葉で語った。さらに群馬で世話人をつとめる青柳晃玄さん(僧侶)は「闘いの前進の手応えが出てきた。プラス思考で闘いましょう」と締めくくった。

(12月15日) 成田空港電機設備談合、元公団幹部2人を起訴(12/15全紙)

 成田空港の電機設備談合事件で、東京地検特捜部は15日、競売入札妨害罪で発注側の旧「新東京国際空港公団」(現成田国際空港会社、千葉県成田市)の元幹部2人を起訴した。受注側の東芝(東京)、日新電機(京都市)、富士電機システムズ(東京)の営業担当者計3人は「従属的」として略式起訴し、東京簡裁は同日、それぞれ罰金50万円の略式命令を出した。
 特捜部は旧公団による“官製談合”の捜査を終え、防衛施設庁ルートの解明を本格化させる。
 起訴されたのは、旧公団の元工務部電気課長、客野悦志(きゃくの・えつし)容疑者(55)=現同空港会社安全推進部担当部長、休職中=と元工務部次長、伊藤貞夫容疑者(57)=現同社施設保全部長、同=。東京地裁は同日、2人の保釈を許可する決定をした。
 起訴状によると、両被告は東芝など3社の営業担当者と共謀。旧公団が2003年7―12月に実施した3件の受変電設備工事の入札に先立ち、各担当者に発注予定価格に近い金額を漏らし、公正な入札を妨害した。
 旧公団側は長年にわたり、複数のメーカーとの間で受注調整していたとみられ、特捜部は旧公団側がメーカーに職員の再就職先を求めたり、天下ったOBが受注増を働き掛けるなどしたケースを悪質と判断した。
 伊藤被告は客野被告の前任の電気課長。異動後も上司の立場で、客野被告の価格漏えいを了承したとみられる。

 【本紙の解説】
 2人の起訴だけで、旧公団の談合事件の捜査は終了としている。工事のほとんどの平均落札率(上限価格に占める落札額の割合)が90パーセント台後半であり、すべて談合だと言われている中で、事件を終結とは誰も納得しないだろう。
 起訴後の黒野社長の談話はあきれるばかりである。起訴された2人は、社内での事情聴取で「配分表」作成を認めたが、「個人的利益やOB(天下り)対策のつもりはなかった」と釈明したそうだ。黒野は記者会見でこのことを明らかにしたが、この釈明を黒野自身が承認しているのだ。この事件は、旧公団がメーカー側に対して幹部職員の再就職先(天下り)を求めたり、天下ったOBが不正に受注増を働き掛けたりしたことが問題の焦点だ。その悪質さが問題になっているにもかかわらず、その事実自体を黒野は否定しているのである。こんなことでは談合と背任は今後も確実に続くだろう。
 NAAは19日に懲罰委員会と臨時役員会を開き、黒野社長を含む役職員と社員の処分を行うと発表している。談合の実態調査をなおざりにして、道徳的な軽い処分で事を済まそうという姿勢がありありだ。
 談合はNAAだけではない。監督省庁である国交省も官製談合にどっぷり浸かっている。それは既に摘発された道路公団の件をみるまでもなく明らかなのだ。NAAの2人が起訴された15日、国交省発注の全国97カ所の空港施設整備の電機関連工事187件の平均落札率が95・3パーセントであることが報道された(11/15日毎日夕刊)。NAAを監督すべき国交省本体が談合(官製談合)に手を染めているのであり、その国交省がNAAの指導などできるはずもないのだ。

(12月15日) 反対同盟は「2006年新年デモと旗開きのご案内」を全国に発送した。 以下はその全文。

■2006年新年デモと旗開きのご案内
                          三里塚芝山連合空港反対同盟
 全国のみなさん。
 反対同盟は今年も一年間、意気軒昂と闘い続けてきました。自衛隊のイラク派兵と教育基本法改悪、改憲攻撃など小泉内閣の反動が強まるなか、国交省とNAA(成田空港会社)は暫定滑走路の北延伸を決定しました。北延伸の狙いは、天神峰・東峰区の闘争の解体であり、あくまでも当初計画への舞い戻りにあります。07年株式上場と09年羽田国際化が迫っており、空港をめぐる国家間競争が激しくなる中、NAAはあがきにあがいています。官製談合事件では会社役職員が、空港建設を食い物に私腹を肥やしていることが明らかになっています。
 来年は、秋にも予想される暫定滑走路北延伸の着工をめぐる決戦の年です。「東峰の森」破壊と成田クリーンパーク(一般廃棄物最終処分場)の違法転用許さず、北延伸工事着工阻止へ全力で決起しよう。天神峰現闘本部建物の不当な撤去攻撃を絶対許さず、現闘本部裁判闘争に勝利しよう。自衛隊のイラク派兵延長を弾劾し、成田空港の軍事使用をなんとしても粉砕しよう。新年デモと旗開きを下記の要項で行いますので、例年にも増して多くのみなさんが参加されるよう呼びかけます。
                           2005年12月15日
                 記
 2006年新年デモと旗開き

【期日】2006年1月8日(日曜日)
○新年デモ
  午前10時 市東さん方南側の開拓組合道路集合
○団結旗開き
【集合時間】午後1時
【会場】ハナマサ(成田市並木町大久保台219‐304 TEL 0476‐23‐2328
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
    ※電車の方は、成田駅からバスかタクシーをご利用ください。
      バス(京成成田駅正面口バス乗り場)
          三里塚経由成田空港行き 11:45発 12:45発
          住野経由八街行き    12:05発 12:50発
              成田教習所下車(所要時間10分) 会場まで徒歩2分
      タクシーの場合、料金は約1000円
(連絡先)事務局長・北原鉱治 成田市三里塚115 TEL 0476(35)0062

(12月19日) 空港会社 談合に現職課長級も関与/3人を懲戒免(12/20朝日、読売、産経各全国版、千葉日報、読売千葉版)

 旧・新東京国際空港公団(現・成田国際空港会社)の電機関連工事を巡る談合事件で、空港会社は19日、課長級の工務部電気グループマネジャー(56)も受注調整をするなど談合への関与を社内調査で認めたことを明らかにした。
 同社は同日、競売入札妨害罪で起訴された元公団工務部次長(現同社施設保全部長)伊藤貞夫(57)、元同部電気課長(現同社安全推進部担当部長)客野悦志(55)の両被告と、同マネジャーの計3人を懲戒免職処分にした。このほか、談合を黙認したとして公団と同社の工務部に在籍した部長級〜課長代理級4人を停職、監督責任者として黒野匡彦社長ら10人を減給処分とした。
 同社によると、マネジャーは、公団の電気通信工事課長だった1999〜2002年の間に、当時電気課長だった伊藤被告の指示で、重電メーカーにあらかじめ工事を割り振る配分表を作成し、メーカー側に渡していた。また、電気グループマネジャーに就任した民営化後の今年7月以降、あらかじめ受注業者を決め、契約の目安となる「契約制限価格」を漏えいして受注調整をした。

 【本紙の解説】
 空港会社は15日に2人が起訴されたことと、「特捜部の捜査は終わる」との観測から、起訴された2人を含む3人の懲戒解雇と若干の処分というトカゲのシッポ切りで終結させようとしている。「入札、契約を担当していた社員65人からの事業聴取がすべて済んだ」として処分を発表したものにすぎない。この調査でも、解雇された電気グループマネジャーは、工務部とは別の工事局施設工事部在籍中にも談合に加わったこと、また、民営化後も談合が引き継がれたことも明白になった。社内調査であることから、甘くいい加減なものと言われているが、それでも別の談合が明らかになりつつあったのだ、にもかかわらず、3人の解雇処分でことを終わらせようとの狙いで行われたのである。
 空港会社はいまも工事の大半が談合で仕切られている。落札率が90パーセント台後半であることから、道路公団の例を引くまでもなく、談合の事実は社会的には常識なのだ。
 これで事件を幕引きにすることを許してはならない。

(12月20日) 滑走路延長関連新規予算8900万円(12/21朝日、毎日、産経各千葉版、千葉日報)

 政府の06年度予算の財務省原案が20日に内示された。成田空港関連予算は、国の直轄事業分で計8億3500万円で、暫定B滑走路を北側に320メートル延長することに伴う新規予算は8900万円だった。新たに予算化されたのは、延伸する滑走路の周辺に無線やレーダーなどの施設を新設する費用、延伸部分が管制塔から約4キロ離れるため、新たに管制塔を造ることなどを検討する予算も盛り込まれた。

 【本紙の解説】
 北延伸の予算としては、無線施設関係の新設費用と管制塔の調査費に止まったようだ。空港会社の計画では、「環境調査を8月までに終え、航空法に基づく施設変更許可手続きを行い、同年秋に着工。09年度内の供用開始を目指す(北延伸計画概要、05年10月3日付日誌を参照)」となっていた。しかし、06年度予算案では飛行場施設の変更手続きに基づく、北延伸の本体工事は予算化していないようだ。本体工事とは滑走路延長工事、新誘導路工事、51号トンネル化などの工事である。飛行場施設の変更手続きには地元住民への公聴会などが義務づけられている。それまでには少なくとも騒音下住民の納得は必要である。工事着手のタイムテーブルは、北延伸計画概要よりもずれ込んでいるようだ。電気業者への発注をめぐる談合事件も発覚し、それどころではないのであろう。
 暫定滑走路は管制塔からの視界が不良だが、この欠陥は北延伸でさらに拡大する。このままの管制塔では北延伸部分は監視できないので、管制塔を新たに新設するか、別な方法をとるかの調査費が付いた。
 この予算案は北延伸の破綻性を裏付けている。北延伸は延伸部分の工事費とともに管制塔の工事費もかさみ、経営効率から言っても経済合理性がない。

(12月20日) 成田新高速鉄道 ルート確定 用地買収へ(12/20朝日、日経各千葉版)

 成田空港と東京都心を結ぶ新路線となる成田新高速鉄道について、県都市計画審議会は20日、印旛村―成田市間約11キロの新線ルートを確定した。県決定と国認可を経て、第三セクター・成田高速鉄道アクセス(船橋市)が年度内にも用地買収に入る。完成目標は10年度で、開通すれば、空港第2ビル―日暮里間は最短36分で結ばれる。
 成田新高速鉄道は、約20年前に立ち消えた成田新幹線構想を踏襲。成田空港と京成上野駅を、京成本線と北総線、未開通区間をつないで結ぶ計画だ。未開通のうち空港から成田市土屋までの約8キロは、高架橋が造られたものの、住民の反対で工事は凍結されていた。
 今回確定したルートは、この既存の高架橋と、北総線の終点の間を新たにつなぐもの。北総線の改良費を含め、総事業費は1261億円と見込まれている。県や成田市など地元自治体と、国、成田国際空港会社などが負担する。
 全線開通すれば、京成本線で成田空港と京成上野を結んでいるスカイライナーが、北総線と今回ルート確定した区間などを経由する新ルートに移る。最高時速160キロの新型車両を投入する予定で、空港第2ビル―日暮里間の所要時間は現行の51分から大幅に短縮できるとする。
 鉄道建設を巡っては、国交省からの意見を受け、同社は、周辺の環境に配慮して計画を進めるとしている。

 【本紙の解説】
 成田新高速鉄道への期待は地元でも成田でも空港関係者でも薄れている。芝山鉄道以上の地方自治体の財政的お荷物になることを恐れている。
 成田新高速鉄道は、羽田が国際化しないことを前提に計画されていた。それでも経営が30年先まで黒字化できない見通しで、先送りされていた事業なのである。政府援助が18パーセントから33パーセントに引き上げられることで、初めて認可されたのである。
 しかし、国交省としては成田高速鉄道の政府援助の引き替えとして千葉県堂本知事に羽田国際化を認めさせたのである。ここに矛盾がある。羽田が国際化してしまうと、成田は欧米便と貨物便が大半になり、アジア便の旅客の大半は羽田に流れる。成田新高速鉄道は羽田が国際化しない前提で経営試算を立てているのに、政府援助の増額と引き替えに羽田国際化を認めてしまっている。
 成田新高速鉄道はたとえ開通したとしても、最近開通したツクバエキスプレスと同じように大赤字を抱えるものとしかならない。そのために地元成田市はスカイライナーが成田駅に停車しないことや、土屋駅ができないことをあわせて冷ややかなのである。

(12月22日) 空港会社 談合の3社と取引停止に(12/23朝日千葉版、千葉日報)

 成田空港の電機設備談合事件で、成田国際空港会社は22日、事件に関わった東芝(東京)、日新電機(京都市)、富士電機システムズ(東京)の3社との取引を23日から4カ月間、停止すると発表した。
 現段階で停止期間中に電機関係の新規工事の募集予定はなく、既に設置した設備に修理の必要が生じた場合などは工事を行うという。
 東京地検特捜部が15日、3社の営業担当者3人を競売入札妨害罪で略式起訴したことを受け、空港会社が社内規定に沿って決めた措置。
 特捜部は同日、2003年に実施した受変電設備工事の入札前に発注予定価格に近い金額を漏らしたとして、空港会社の前身の新東京国際空港公団電気課長だった幹部2人を競売入札妨害罪で起訴している。

 【本紙の解説】
 19日の懲戒免職処分などに続いて、談合に関わった企業3社との取引を停止すると発表したが、なんら意味のない処分である。あくまで新規事業の契約を停止するとしただけであり、その期間に空港会社は電気関係の新規工事の募集はないのだから、処分とは言えない。また既に設置した設備の修理工事は行うというのだから、談合事件があったが、いままで通りの関係を継続することを発表したにすぎない。
 空港会社の処分もこれと同じである。いままで通りにやっていい、しかし証拠を残さないこと、メーカーには「配分表」などを提出しないことを要請しているだけなのである。つまり、いままでよりうまく談合をやると宣言していると受け止めるべきなのである。こんなことを絶対に許してはならない。

(12月26日) 不正防止対策 指名競争入札を全廃、天下り制限など6本柱(12/27毎日、産経、日経各全国版、読売、毎日各千葉版)

 入札談合事件を受けて成田国際空港会社(黒野匡彦社長)が26日、不正防止対策を打ち出した。役職員の天下り制限や指名競争入札の全廃など、工事発注制度や会社組織を全般的に見直し、官製談合の温床を根絶することを目指す内容だ。
 対策は(1)法令順守教育の強化、(2)契約方式の改善、(3)組織改革、(4)情報公開、(5)天下りの制限、(6)受注企業への対応の6本柱。
 契約方式では06年4月から指名競争入札を廃止して公募型競争契約に移行。契約制限価格の事前公表や、評価項目と採点基準を公開した総合評価方式の拡大、業者側からの詳細見積もり提出など、談合が起きにくい制度作りを進める。
 組織改革では外部有識者で構成される競争契約監視委員会の事務局を監査部門に移し、発注業務の調査・監視権限も強化。工事発注業務から「積算の審査」「価格交渉」を切り離し、新設の調達室(仮称)に移管して組織間でけん制機能が働くようにする。
 官製談合を招くと指摘される受注企業への天下り(再就職)については、役員は無期限、管理職以上は5年間禁止とし、社員の再雇用を積極的に進めることにした。

 【本紙の解説】
 これで談合問題を幕引きするということでは、官製談合を絶つことはできない。この「不正対策」は、いままでの談合を隠蔽し、免罪符を与えることだけを目的にしたものであり、そのため、今後も談合を温存するものに終わるであろう。
 空港会社としてまずやるべきことは今までの談合をすべて明らかにすることである。競争入札したものの入札率がすべて90パーセント台後半で横並びしていることの理由は明らかにしてもらいたいものである。過去の実態を明らかにしないで、今後はこうしますと言っても世間では通用しないでしょう。
 対策として6点をうたっているが、官製談合を取り締まれるものではない。法令順守などは当然のことであるが、罰則があっても今まで破られていた。組織改革、受注企業への対応の改革は、空港会社の工事発注組織の変更と制度を変えただけであり、談合の主体が工務部から新設の調達室に移されただけである。情報公開し、指名競争入札を廃止し公募型競争契約にしても空港自体は特殊工事が多く、工事ができる企業は限られている。また、天下りの5年間の禁止にしても受託収賄の様式が変わるだけにしかならない。
 こんな対策で空港会社の官製談合問題の決着とさせてはならない。

(12月28日) 北延伸来夏の着工を目指す(12/29千葉日報)

 成田国際空港会社の黒野匡彦社長は28日、暫定平行滑走路を2500メートル化する北延伸整備で、来年夏ごろに着工したい考えを明らかにした。
 会見で黒野社長は、航空法に基づく施設変更許可申請5月下旬から6月ごろ行い、公聴会などの諸手続きを経て「夏ごろには着工に持っていきたい」と述べ、「2009年度末の供用開始には間に合う」との見方を示した。
 また、黒野社長は、2007年度に目指していた株式上場について「暫定平行滑走路の北延伸決定で工事費が上がり、工期が伸びた。07年度の上場にはこだわらない」と述べ、上場時期が遅れる可能性を示唆した。暫定滑走路は、空港反対農家らの所有地を避けるため、本来計画と逆の北側に延伸することを8月に決定。延伸された暫定滑走路の使用開始は09年度が目標で、総事業費は約330億円と本来計画の約2倍になる見込み。
 黒野社長は、10月から導入した着陸料値下げや、発着枠がほぼ満杯の状況を挙げ「来年から平行滑走路の使用開始までの間、減収減益は避けられない。投資家が関心を持つ中長期的なキャッシュフローをばら色に描けない可能性がある」と述べた。

 【本紙の解説】
 05年最後の黒野社長の月末記者会見だが、何を思ったのか、とんでもない大攻撃の宣言を行っている。06年夏に北延伸の工事を開始するというのだ。8月4日の北延伸決定時の確認(05年8月4日付日誌を参照)、10月3日の北延伸工事計画(05年10月3日付日誌を参照)よりも前倒しした工事計画を発表したのである。
 8月4日と10月3日の計画では、「法律に基づく環境アセスメント調査はやらずに、1年程度の環境調査を実施する」としており、「環境影響調査を行った後、2006年夏に航空法に基づく施設変更許可手続きを行い、同年秋に着工」となっていた。
 それでも早すぎて、「滑走路の延伸には航空法に基づく飛行場施設の変更手続きや地元住民への公聴会などが必要で、着工までに最短でも1年半程度かかる見込み」、「工事も大掛かりなもので、工期短縮は難しいとの見方も多い」という観測も空港会社内部で言われており、報道もされていた。
 「法に基づかない」ものであっても1年程度かかる環境調査を予定の夏の8月でなく、春の5月までに終わらせようとしているのか。公団内部では、06年秋着工は難しく、その半年後の07年春と言われているのである。黒野社長は計画より半年早く、内部の意見より1年も早く北延伸を着工しようとしていることになる。
 また、黒野社長は「本来計画予定地(成田市東峰)の地権者との話し合い」を完全に放棄している。これは8月の決定の時に、工期の最大限の短縮と周辺地域への騒音対策とともに、地権者との話し合いが国交省から指示されているにもかかわらず、このことを一切考慮に入れずに工事開始を宣言している。東峰の森を破壊する新誘導路の建設について東峰地区の承認もまだ得ていないのである。
 官製談合の失態、株式上場の先送りで完全民営化が遠のいたことによって窮地に陥り、計画無視の大攻撃を開始し乗り切ろうという考えなのか。こんなデタラメな計画では北延伸が完成しないことは、三里塚闘争の歴史が示している。

(12月31日) 空港会社/08年度以降に上場延期へ(12/31読売)

 国土交通省は、国が全額出資する成田国際空港会社の株式上場時期を、当初予定していた2007年度中から、08年度以降に先送りする方針を固めた。
 成田空港は、08年度中に暫定平行滑走路の拡張を実現する予定だったが、用地の見直しで計画より1年遅れ、事業費も190億円から330億円に膨らむ見通しだ。新滑走路供用のメドが立たない状態で上場すると、短期的な利益を重視する投資ファンドなどが大株主となって株主への利益還元などを要求した場合、滑走路整備が進まなくなる恐れがあると判断した。
 国交省は、工事の進行状況などを見ながら、具体的な上場時期や、国が放出する株式数などを検討する。
 成田空港会社は、04年4月に新東京国際空港公団から、国が全額出資する民間会社に衣替えした。成田空港には、39か国が新規乗り入れを希望しているが、発着枠が満杯で順番待ちの状態だ。このため、現在の2180メートルの暫定平行滑走路を、早期にジャンボ機の発着ができる2500メートルに拡張し、発着回数を増強する必要に迫られている。
 空港会社の黒野匡彦社長は「経営の自由度を高めたい」などとして、07年度中に東京証券取引所に上場する方針を示していた。しかし、国交省は滑走路整備を確実に進めることが重要だとの考えだ。同社が収入の柱となる着陸料金を05年10月に平均21%値下げしたばかりで、収支の状況を見極める必要があることも考慮し、上場を遅らせることにした。

 【本紙の解説】
 空港会社の完全民営化は相当先まで遠のいたようだ。暫定滑走路が成田空港のお荷物になったようだ。上場は08年度以降となっているが、「収支を見極める」となると永遠に先になる。成田空港の民営化はお題目だけに終わり、国交省監督下の特殊会社が相当長く続きそうだ。暫定滑走路の2500メートル化が完成し、収支が好転するまでは、民営化できないからだ。2500メートル化よりも羽田4本目の滑走路供用開始が先になる公算が高いために、2500メートル化が完成しても成田空港の収支の好転は見込めない。そうなると完全民営化は近未来には実現しそうにない。いや永遠の彼方に消えたようだ。
 空港会社は資本金1000億円、基本準備金500億円で発行株券は200万株(1株7万6000円)で全株が政府保有である。上場すれば、全額が空港整備特別会計に入り、事実上、関空の赤字の穴埋めに使うことが予定されている。07年に上場しても額面割れの可能性もあるから、先送りとなったのだ。
 それ以上に「投資ファンドなどが大株主となって株主への利益還元などを要求した場合、滑走路整備が進まなくなる恐れがあると判断した」ということが問題である。つまり、暫定滑走路の北延伸は経営的には無駄な投資であり、民営化の論理=資本の論理からすると北延伸は中止すべき工事なのである。このことを国交省と空港会社が、上場先送りという行為で認めたのである。
 黒野社長は暫定滑走路の2500メートル化と完全民営化を課題として公団総裁、新会社社長に就任したが、その2つとも失敗し、官製談合も引き起こし、成田空港の歴史上最悪のトップとしてその座を退く羽目になるようだ。

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